WATNEY

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京都橘大学での授業を経験して考えたこと

先日、京都橘大学の平尾毅先生の授業で、WATNEYの事業についてや、起業に至るまでの経緯など、プレゼンとディスカッションをさせていただきました。

個人的にはビジネスモデルのつくり方の説明が一番受けるかなと思っていたんですが、そこはまったく受けず(かなりの人が寝てました笑)、就職先選びのアドバイスの部分が異様に受けたのが、印象的な出来事でした。やはり、就職は多くの人にとって関心がある一方で、起業はそれほど身近ではないのかもしれません(講座自体も起業が主題なわけではなかったのもあると思います)。

(ビジネスモデルのつくり方のパートも、かなりの時間とかなりのお金がかかってる内容なので、聞く人が聞くとおもしろいはずなんですが。)

で、自分の話しのなかで受ける部分があると、どうしてもそこに時間と熱量を注いでしまうものだと思うんです。とくに、目の前に100人以上も人がいる状況だったわけですから。

ただ、それも善し悪しだなと思っていまして、「目の前の人には受けないけど、伝えるべき大事なこと」ってあるはずなんです。

そういうことは、対面の教室での授業だと受講生に影響を受ける分やりにくくて、WATNEYのような映像授業だと、目の前に受講生がいないので、かえってやり易いんじゃないかと思います。

実際の授業を経験してみて、WATNEYのいままで見えていなかった利点に気付けた出来事で、貴重な学びとなりました。

はじめてバズりました

大阪大学大学院経済学研究科の村宮克彦准教授の授業、『「理論解説」会計の概要とROE』を先日アップいたしました。

こちらの動画、初動からすごい再生数になっておりまして、WATNEYのYouTube登録者数も1日で100人ほど増えました。
(それまで300人ほどが、400人を超えました。)

で、その要因はあきらかに村宮先生のツイッターです。

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会計学の普及のため,会計学界初のYouTuberになりました!w
はじめての収録で緊張していた上(言い間違いもちょいちょいあり),パイロット版ということもあり,改善の余地はあろうかとは思いますが,会計学徒はご笑覧いただき,ご批正ください!
顔テカテカなのは一見の価値あり.
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リツイートといいねで広がってくれたようですが、そもそも多くの人がリツイートといいねをしてくれたのは、「会計学界初のYouTuberになりました!w」というキャッチ―さと、会計に対する社会の需要の大きさ、そして村宮先生ご自身の価値でしょうか。

ツイッターも不思議なメディアで、一回の投稿文字数に制限があるがゆえに文章力の有無に関係なく気軽に利用でき、よって利用者が増え、リツイートやいいねで拡散力は高まる、という全体設計になってますよね。

けっこう当事者でも詳細なメカニズムは分からないことも多いですが、あらためてツイッターの影響力の大きさを実感した出来事でありました。

経営者といっても、自社の経営戦略の結果からその原因を特定し、次につながるように学ぶのは、実はかなり難しいことなのではないか、というお話

大学院生だったときは「経営者だと、自分の会社の経営で日々実験ができて、そこから因果関係を学べるし、望むならそれを理論化できるからいいな」と思っていたんですが、実際に自分が経営者になってみると、実はそれってかなり(事前によほど注意深く設計しておかない限り)難しいことなのではないか、と最近思ってます。

経営者として経営戦略を策定し実行すると、結果は数字として(財務諸表などに)出てきて比較的分かりやすいわけですが、多くの場合、その結果につながった原因は(時間的にも長いし、原因変数も複数考えられるため)自明ではないわけです。

そこで、原因を特定したいわけですが、ここでの状況としては、(経営戦略を策定した当事者であるといっても)1つのケースが与えられている状態(単一事例研究)でしかないわけです。

単一事例研究というのは、研究の方法の一つで、一つの事例をデータとして使った研究のことです。

で、単一事例なので、当然それだけを見ていても原因は(ばくっとしか)分かりません。なぜなら、因果関係が成立するといえるには4つの条件が必要だといわれていますが、それらを単一事例研究では満たせないことが多いからです。

ちなみに4つの条件とは、以下です。
① 原因変数が結果変数に時間的に先行していること
② 原因変数と結果変数が共変関係にあること
③ 原因変数以外の他の変数が結果変数に影響していないこと
④ 原因変数と結果変数の間のメカニズムが確認されること

自分が経営者であっても、①時間的先行と、④メカニズムは分かるかもしれませんが、②共変関係は正確には分からないし、③その他の変数が結果変数に影響していない、なんてあるわけないです。

そこで、こうしたら経営者として因果関係を学びやすくなるんじゃないかと最近考えているのが、「その経営戦略が失敗すること自体が逸脱事例になるように、経営戦略の策定時点から、既存理論に基づいてあらかじめ設計し、実行する」ことです。

参考)三枝匡,伊丹敬之(2008)『「日本の経営」を創る―社員を熱くする戦略と組織―』日本経済新聞出版社
上記のαが既存理論にあたります。Aからαへの理論化・論理化は既に経営学者によって行われているので、経営者がαを自社の条件に合わせたα’に解凍し、α’を具体化した経営戦略であるBを設計し、実行するわけです。

ちなみに逸脱事例というのは、理論の想定する原因変数を満たしているにも関わらず、理論の想定する結果変数が観察されない事例や、理論の想定する原因変数を満たしていないにも関わらず、理論の想定する結果変数が観察される事例のことです(簡単に言うと、「思てたんと、ちゃう!」ということです)。

上記のようにあらかじめ経営戦略を設計しておくと、成功した場合には「既存理論の想定通りに成功した」となり、たとえ失敗しても「既存理論の想定通りには成功しなかった」となって、次につながるように学びやすくなるわけです。

経営学の理論が提供できるのは、もっとも状況にフィットした理論であっても「結果(たとえば成功、具体的にはROIや利益率や売上高など)につながるであろう、必要条件として原因(たとえば顧客目線で他社と相対的に見たときの自社のかけがえのなさ、具体的には品質や市場シェアなど)」というところが関の山なので、理論に基づいていても失敗してしまうことは、残念ながらおおいに考えられるわけです。もちろん、経営学の理論を使わないよりも、経営学の理論を使った方が、成功確率は格段に高くなるはずですが、「絶対に成功する」とまではいかないわけです。
例1)品質→ROI
例2)市場シェア→ROI

で、経営戦略設計時において、既存理論の原因変数は満たしているわけですから、それでも失敗した場合には、
①使用した既存理論の想定する前提条件と自分の環境での条件が違った
②自分が使用した既存理論とは異なる既存理論の想定する原因変数の方がより強く働いた
③ライバル企業の方が自社よりもより良く・より速く・より資源を動員して既存理論の原因変数を満たした
などのようなことが考えられ、比較的考える道筋が出てきやすくなるわけです。

このような想定通りだとすると、「MBAコースにおいて事例研究(研究として批判されやすい方法)で修士論文を書くことで方法論に自覚的になっておくことは、実は経営者になった際には(統計分析などの強い方法で修士論文を書いた場合と比較して)かえって役立ちやすい」のかもしれません(日々の経営意思決定自体は個々のケースなわけですし)。

「熱したやかんを触る→火傷する」のような時間軸が短い因果関係(webサービスでのA/Bテストがやりやすい分野など)は学びやすいですが(小さい子どもでも分かる)、時間軸が長く、原因変数も複数考えられる経営戦略のような分野だと(しかも資本金と借入金の範囲内でしか実験できない、おそらく失敗許容回数は2~3回)、戦略の設計段階から意図的に関与しないと、なかなか当事者(経営者)といっても学びにくい(PDCAがPDPDPD・・・になりやすい)のではないか、というお話でした。

それでは、「その経営戦略が失敗すること自体が逸脱事例になるように、経営戦略の策定時点から、既存理論に基づいてあらかじめ設計し、実行する」ことは、どのようにすれば可能となるのか?

もちろん、WATNEYで学ぶことで可能となるわけです。
https://www.youtube.com/c/WatneyJp

概念と現実のインターフェースづくり

多くのビジネスパーソンは、経営学を「使えない」学問だと思っていると思います。

でも、経営学はほんとは「使える」学問なんです(時間と空間をこえて使える、いちばん使えるものです。ぼくの知る限り)。

理論は、概念(原因)と概念(結果)の関係なので、図でいう上側です。

今すでにある理論は、過去の研究者たちによって、現実のデータに基づいて抽象化・理論化されたものです。一般的に広く知られているような理論は、さまざまな現実のデータで批判的に何度も検証され、その検証に耐え抜いて、なお残っているものです。ですので、現実から概念の方向の結び付きは、(程度問題はあるとはいえ)おおむね問題ないと考えていいと思います。

多くの人にとってむずかしいのが、今あるその理論を、その理論が抽象化・理論化されるときに使われた現実以外の現実(理論を使う人が対面している現実)に適応するときです(概念から現実の方向)。

理論を現実に適応する(図の下側におろす)には、理論を自分で理解して、自分の直面する現実に、自分で考えて、原因と原因変数、結果と結果変数それぞれを厳密に対応させていかなければなりません(むずかしくは構成概念妥当性が高い方がいいよね、みたいにいいます)。

その訓練を受けたことがある人が日本には極端に少ないから、「経営学って使えねぇ」と思われているのだと思います(訓練されてなければ使えるはずがないのは当たり前なので、完全に経営学サイドの問題ですね。ごめんなさい)。

これからWATNEYでは、概念と現実のインターフェースづくりを行っていきます。お楽しみに。

これで日本経済もきっとやっと復活します。よかった。

サービス開始にあたり

WATNEYは、webで経営学を(メインに、社会科学を広く)学ぶことができるサービスです。

経営学ですから、実際の経営者の方に、実際の経営で活用していただける知を提供したいと考えています。

ですけれども、「明日からすぐ使える知識」や「この公式に当てはめれば経営上の問題は解決します」といったものは、あまり多く提供できないと思います。

経営上の問題解決に使える、「レシピ」「公式」「答え」といったものを欲しがる人が多くいることは分かっているのですが(それに、あればもちろん僕も欲しいと思うんですが)、おそらくそういったものは、少なくとも経営学界隈には、あまり多くは存在しないような気がしています。

・夕食に肉じゃがを作る→「肉じゃがのレシピ(公式、答え)」をさがす
・羽生善治さんと将棋を指す→「羽生善治さんに将棋で勝てるレシピ(公式、答え)」をさがす

上は上手くことが運びそうですが、下は上手くいきそうな気があまりしません。

どちらかというと、経営学を学ぶときに多くの人がおちいりがちなのが、下のような状況な気がしています(とくに経験豊富で優秀な方ほど、そうなりやすい気がしています)。

経営も将棋と似ているところがあって、「相手がいる」ということがありますよね。

相手がいるので、「こうすれば絶対こうなる」ということが言いにくいんです(しかも、経営だと、お客さんや同業他社さんなど、色々たくさんの関係する人々がいます。たぶん将棋の対戦相手よりもたくさん)。

ですので、「羽生善治さんに将棋で勝てるレシピ(公式、答え)」をさがして、「羽生善治さんに将棋で勝てるレシピ(公式、答え)」が無いなら、そんなのまったく役に立たないよ、といった考え方ではない方がいいと思っています。

それよりも、「まあ、羽生善治さんに将棋で勝てるかは分からないけれども、将棋を一緒に指しながら考えていきましょうよ。少なくとも今よりも強くなるための方法はありますし、それになにより、将棋を指すってすごく楽しいことじゃないですか」といった姿勢でわれわれはおりますので、これから一緒に学んでいくことができれば、とてもうれしく思います。

株式会社 解ける問題
長地 一紘

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